ザ・グリッド

ザ・グリッド DVDコレクターズ・ボックス誰も活躍しなかった。

宣伝は魅力的だったが、第一話を見ただけでうんざりした。登場人物をやたらと紹介してくれる。どれも重要人物に思えるのだが、たいしたストーリーもなく紹介だけで済まされる上に数が多いので頭が痛くなる。紹介シーンはただの演出だとしたら、最低の演出だ。いずれ再登場する重要人物だからせっせと紹介しているというのであれば、最悪のシナリオだ。おそらくはシナリオがダメなのだろう。

毒ガスを取り扱うテロリストがくわえタバコで作業をするシーンがある。登場した瞬間に、事故を起こすためのストーリーが進行しているとわかる。案の定、毒ガスの漏出事故が起こるわけだが、事故が発生すると居合わせたテロリストは一目散に部屋から脱出しようとする。毒ガスの威力は承知しているわけで、それなら細心の注意を払って作業すべき。シリアスなドラマにまぬけ役は不要だ。くわえタバコで事故を起こすストーリーにしたいのであれば、毒ガスが漏出しても脱出しようとしない人物、つまり状況を把握していない人物を配すればいいものを。

テロリストの首魁は支援者に毒ガス漏出事故を批判されて、末端がやったことなどと責任を転嫁する。大事な作戦を愚か者に任せて失敗し、平気で責任逃れを図るのでは卑小なだけの存在であり、悪の魅力はかけらもない。

結局、主人公を含め、誰ひとりとして活躍しないまま第一話は終了する。いや、もしかしたら主人公はいないのかもしれない。宣伝を見れば主人公の目星はつくのだが、その人物は第一話ではただの脇役だ。なにしろ覚えきれないほどの人物を紹介付きでずらずらと登場させて、それでおしまいなのだから。