ゲド 戦いのはじまり

ゲド~戦いのはじまり~ [DVD]
13分我慢した。

平和な島に兵隊が侵攻。指揮官はいないようで、なんの作戦もなく、偵察すらせずにいきなり突撃する。村人は村人で、武器だけはすぐに手にしたくせに、粗末な橋を落とすとか、バリケードを築くとか、防戦のための備えは一切なしに棒立ちで迎え撃とうとする。

どうせ主人公が魔法を使って撃退するシナリオになっているのだから、よけいなことはしたくないということか。お子様向けに「突撃する悪の軍団」と「抵抗するか弱い村人」を用意して、それでもう充分だと満足したのかもしれない。欲を出してリアリティを追求すると、あとの展開にも支障が出る。監督はよほど手間を省きたかったと見えて、ずいぶんとまぬけな攻防戦だった。

村人がなにもしなかったので、兵隊は難なく攻め入る。そこに現れた主人公が生まれて初めての魔法を成功させるのはまあいいとして、そのあとの展開を見れば、監督が手間を省きたかった理由がよくわかる。

橋の上で魔法の霧に包まれた兵隊を、主人公と村人が小バカにして崖まで駆けてゆく。バカにされて頭に来たのか、兵隊は魔法の霧に包まれたまま突き進み、前がよく見えなくて崖から転落する。

つまり、村を守るために村人が知恵をしぼって、橋を落としたりバリケードを築いたりといったまともな行動に出ると、主人公が魔法を使って兵隊を撃退するくだらないコントが披露できなくなるわけだ。

お子様向けの作品だからと平気で手を抜くようでは、制作したのもお子様だったと文句を言いたくなる。もっとも、13分で見るのをやめてしまったからわからないだけで、もしかしたらコメディだったのかもしれない。