HEROES / ヒーローズ
主人公が誰だかわからないまま、第4話の途中まで見た。軸となる人物もなしに、数も多い登場人物のエピソードをただぶつ切りにして紹介するだけなので、第1話でもう見る気が失せた。
それでも我慢して見続けたところ、第3話でおもしろいシーンを見せてもらった。ケガをしてもすぐに治ってしまう少女が、不慮の事故で死亡して検死解剖される。解剖台の上で蘇生してみれば、自分がすでに解剖されている事実に気づく。というシーンだった。
死人が解剖された状態で生き返ったわけだから、これはたいへんだ。退室したとはいえ検死官らしき人物はいるし、場所も警察かどこかだろう。遺体が搬送された事実も記録されているはず。この状態からいったいどうやって抜け出すのかと、ここから始まるであろうストーリーに大いに期待した。
ところが、監督は無能なのか、なにひとつ楽しませてはくれなかった。
少女は検死官の目を盗んで部屋から出て行くと、次の登場シーンで無事に帰宅した。白衣を一枚羽織っただけの素足の少女が、検死室から出て行き、警察署から逃げ出し、街を通り抜けて、家に帰り着くまでにどれほどのドラマがあったことだろう。
それを監督は、なにも起こらなかったことにしてしまった。
解剖された状態で少女を目覚めさせたのは、おもしろいと思ったからそうしたのではないのか。ならば、なぜ、そのシーンを取っ掛かりにして、さらにもっとおもしろくしようとは考えないのか。
ストーリーが転がり始めるせっかくのシーンなのに、「なにも起こらずに少女は帰宅しました。おしまい」ときたのでは、無能と罵りたくもなる。