ランボー 最後の戦場
グロさは増したが、退屈な作品だった。そして退屈な作品だけあって、魅力的な脇役はひとりもいなかった。
主人公に命を救われたくせに、憎しみをあらわにする人道主義者。主人公に移動手段を依存しているくせに、一方的に突っかかっては見下す傭兵のリーダー。どちらも主人公の引立て役だから、愚か者として描かれている。人道主義者は自分が殺されることを考えないし、傭兵のリーダーは敵地に置き去りにされることを考えない。
シナリオを読めば安心だ。主人公は人道主義者を救出するストーリーになっているから、殺されたらとおびえる必要はない。また、主人公は傭兵を率いるストーリーになっているので、置き去りにされたらと恐れる必要もない。それにどうせお芝居なのだから、なにも怖くはないわけだ。
もしも、人道主義者が生と死に苦悩したなら、ドラマに深みが増しただろう。傭兵のリーダーが主人公のただならぬ雰囲気に一目置いたなら、わざわざセリフで説明しなくても有能だとわかっただろう。
主人公とは、優れた人物を脇に配されてなお、輝く存在でありたい。
愚か者を引立て役にして主人公が輝いたと満足するようなら、プロとは呼べない。スタローンは監督をするべきではなかった。