レバレッジ 〜詐欺師たちの流儀
主人公は有能な保険調査員だったとの設定だが、悪役の話を鵜呑みにして調査もせずに、無実の企業から機密を盗み出している。設定とは裏腹に、ストーリーは主人公が無能だと物語っている。
悪役は主人公らを集めて爆殺しようとするが、ここでもストーリーに大きな穴があいている。誰が爆薬を仕掛けたのか、爆発させておきながらなぜ結果を確認しなかったのか、どうして爆発事件は捜査されなかったのか。どこで切っても、話はおかしくなる。
命を狙われた主人公は報復に出て、悪役を罠にかける。ところが悪役は、バカ正直にもFBIに通報してしまう。自ら通報させるのも罠の一環ということになっているのだが、そこは目をつぶるとしても、登場してきたFBIが実にお粗末。
通報を受けて出動したFBIとしては、悪役に不利な証拠がそろっていたとしても、わざわざ通報してくれたのだから逆に不審を抱くはず。はめられたとは考えもしないで、一方的に悪役だけを犯人扱いするとは考えにくい。
FBIの捜査で悪役が勤める企業は株価が暴落し、主人公らは株式市場で大儲けしてめでたしめでたしとなるのだが、これにはさすがに引いてしまう。悪役の勤め先が悪徳企業だとは描かれていないし、暴落で損をさせられたのは株主で、どちらも犯罪には荷担していない。
正義のために詐欺師が立ち上がるという触れ込みなのに、犯罪とは無縁の人々がそこでもここでも被害に遭うストーリーを見せられるのだから、子供だましというよりほかにない。詐欺師の活躍を見たかったのだが、どうやら見事にだまされてしまったようだ。