ジャンヌ・ダルク

ジャンヌ・ダルク [DVD]期待はずれ。

ずっと見逃していたのだが、見逃したままのほうが幸せだったかも知れない。がっかりしなくてすんだから。ジャンヌはただ絶叫して突撃するだけで、作戦もなにもありゃしない。神の啓示も精神病のように演出されて実につまらない。宗教裁判はねちっこくてむかつくし。

唯一の収穫はジル・ド・レエ役のヴァンサン・カッセル。ド・レエといえば、知勇を兼ね備えた武人でありながら、後に、歴史に残る大虐殺事件を引き起こす人物である。救国の勇者が悪魔の使者へと変貌し、800人もの子供を惨殺したという。

ヴァンサン・カッセルは悲惨な未来を暗示するかのように、妖しい雰囲気を漂わせて好演している。ここはひとつ、ヴァンサン・カッセル主演の「ジル・ド・レエ」を見てみたいものだ。脇を固めるのは、ジャンヌ役にミラ・ジョヴォヴィッチ、シャルル7世役にジョン・マルコヴィッチと同じキャストでかまわない。ダスティン・ホフマンはド・レエを悪の道に誘う魔術師役でどうだろう。ただし、監督と脚本のお二方はお引き取りを。