9000マイルの約束
シベリアの果てから遠くドイツまで。一万キロメートルを超える脱出行。実話に基づくそうだから、あまり脚色するわけにもいかないのだろう。犬との触れあいをもっと描いた上で、主人公を守って息絶える最期とすれば、かなり目頭も熱くなったはず。
ようやく国境を越えて、身元確認に訪れた叔父との再会もそうだが、クライマックスの家族との再会も、描き方が淡泊すぎる。観客を泣かせてみせようとの意欲が、監督にはなかったのかもしれない。アドベンチャーではないのだから、泣かせてなんぼの作品だろうに。ハンカチこそ用意しなかったものの、泣ける作品だと楽しみにしていたのだが。