キング・アーサー

キング・アーサー [DVD]辺境で奮闘する生粋の武将像がいい。

過去に何度も映画化された中世の騎士物語だとばかり思っていたら、意外な展開にびっくり。中世は中世でも、古代の影響を色濃く残す中世初期の物語だ。華やかな文化文明とは無縁の辺境を舞台にした硬派な作品である。

アーサー王と円卓の騎士の物語については、概略に目を通したことがある。元はケルト民族の伝説だったという解説にも触れたように思う。辞書を引けば、ズバリ「英国の先住民族ケルト族の古伝説(大辞泉)」と記載されている。本作は、その古伝説をこそ映画化した作品だ。

目の付け所がひと味ちがうのはさすが。着眼点に優れているのはプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーだろうか。プロデューサーの立場は監督よりも上で、より強い権限があることは承知しているが、頭では理解しても実際にはプロデューサーに注目することはあまりなかった。これからはいま少し気をつけるとしよう。

本作に登場した、辺境で奮闘する生粋の武将アーサーには、実に新鮮な驚きがあった。華やかな中世騎士物語のアーサーにはすでに食傷気味だし、色恋がメインなら見たくもないのが本音だ。おとぎ話とはちがう等身大のアーサーを、よくぞ見せてくれたもの。