ツイステッド

見事なサスペンス。

期待どおりの出来映えで堪能させてもらった。誰が犯人だろうと思っていたら、意外な人物。とはいえ、「犯人がこいつならおもしろいのに」と考えた人物がズバリ犯人だったわけだが、そうとわかった瞬間におもしろさが倍増した。

主人公と、ずっと正体を隠していた犯人との、円満な関係が一気に崩れ去ったわけで、作中では映像化されていないこれまでの過去すべてに思いを馳せ、めまいがしそうなほどに楽しめた。

本作はミステリーではない。サスペンスだ。「テイキング・ライブス」と同じで、犯人捜しを楽しむ作品ではない。どちらも、犯人の目星なら簡単につく。

事件の犯人は自分ではないのかと疑心暗鬼を生じていた主人公は、真犯人の正体を知っても安堵することは決してない。むしろ、主人公の過去、すなわち人生そのものが根底から瓦解することとなり、さらなる絶望へと追いやられる。

しかも、その過去は映像化されていないから、観客は自分の抱く思いでそれぞれの不安感を掻き立てられるわけだ。存在しないシーンで巧みに不安を煽るのだから、これはもう見事というよりほかにない。