ステルス

ステルス デラックス・コレクターズ・エディション [DVD]おつむを空っぽにすれば楽しめる。

てっきりドッグファイトだけの作品かと思っていれば、陰謀やら敵地からの脱出やらといくつもシチュエーションが盛り込まれており、なかなか楽しませてもらった。人工知能が仲間を救うために犠牲になるシーンでは「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」を思い浮かべたものの、カタルシスを得られるほどではなかった。

それにしても、無関係の村人を大勢被爆させておきながら、何事もなかったように放置するあたりは相も変わらぬ米国流。ステルス機だからか領空の概念がないと見えて、侵犯しまくり。おのれの非は棚上げして、正当防衛とばかりに他国の戦闘機を撃墜するとは。

悪人には悪人なりの正義があるように、登場する米軍も正義を唱えるだけの悪の集団にしか見えない。当のアメリカ人は本作を見ても自分たちの正義を疑うことはないのだと思うと、なにやら背筋が寒くなってくる。

しかし、こうも開けっぴろげにお粗末だと、ついつい深読みしたくなる。もしやこれは、反戦映画なのではあるまいかと。アクション映画に言寄せて、やりたい放題の米軍に対する不快感を植え付けるのが目的なのではあるまいかと。

そうだとすると反戦映画ではなく反米映画になってしまうわけだが、もちろんそれは考えすぎというもの。おつむを空っぽにしておバカに楽しむ分には、よくできた作品ではある。