キング・コング

キング・コング 通常版 [DVD]いや、驚いた。

なかなか始まらないのだが、たいして苦痛でもなかったことから期待すれば、予想以上の出来だった。原住民がまるでオカルトのように登場して、思いもかけない演出に驚けば、そのあとは恐竜パニックに昆虫パニックと続く。怪獣物としてもかなり楽しめる。

そして舞台は一気に大都会に移る。三時間もある長編作品なので帰途のシーンを一切省いたのは正解だとは思うが、出航するまでの序盤に削れるシーンはいくつもあったはず。海上を輸送する船旅も長いのだから、ここはやはりヒロインとコングとの交流を描いてほしかった。そうあって初めて両者の絆が深まるのに、残念。

破滅に至るまでの終盤も悪くはないが、人間同士のラブロマンスはありきたりで安っぽく見える。ここは思い切って、ヒロインとコングとの心中物にするくらいの展開がほしかった。コングの死で終わる作品に、恋の成就などは不要。次にリメイクされるときには、コングを庇おうとして死んでゆくヒロインと、後を追って死を選ぶコングを見たいものだ。