炎の英雄 シャープ

炎の英雄 シャープ DVD-BOX 1愚かなストーリー。

第一話を見た。盛り上がらないままダラダラ続くのだが、「ホーンブロワー 海の勇者」のように最初はいまいちでも、じきに引き込まれるかもしれないと期待して見続けた。

しかしながら一時間を過ぎたところで我慢できなくなった。なにやら機密らしき箱の警備に、三人しか残さずに出撃。やられるシナリオが透けて見えてがっくりくれば、案の定、端役の二人は奇襲を受けてさっさとくたばる。

ところが敵は、脇役の三人目を殺そうとはせずにわざわざ交渉を持ち出す。拒絶されると今度は意味もなく決闘のような戦闘を挑み、有利な状況を進んで放棄して自滅する。結果、反抗的だった脇役がたった一人で見事に箱を守り抜き、主人公の信頼を得て、めでたしめでたしとなる。

脇役の活躍自体は悪くないのだが、活躍させるために用意したストーリーはなんとも底が浅い。ピンチを作るのに「警備は三人だけ」という愚かさを用い、ピンチを切り抜けるのに「有利な状況を放棄」という愚かさをまたもや利用する。シナリオを書いた脚本家は、墓穴を掘らせてそれに乗じることでしか、登場人物を活躍させられないと見える。

その証拠に、主人公が下士官から士官に特進するきっかけとなった冒頭の手柄も、まったく同様の展開を見せる。

自軍の野営地近辺だからと、将軍ともあろう者が無警戒で乗馬を楽しむ。そこを敵が襲撃するのだが、将軍を野営地から引き離すべく回り込むといった作戦は一切なく、ご丁寧にも野営地に追い返す形で闇雲に突撃する。おかげで将軍は一目散に逃げ帰って無事。野営地に向かって無謀な突撃をした敵はあっさりと自滅し、主人公に手柄が転がり込む。

ここでもまた、愚かさに愚かさを重ねて登場人物の活躍とするストーリーが罷り通るわけだ。

せっかくショーン・ビーンが主役を張っているのだからと、冒頭のお手柄シーンには目をつぶったものの、その後も平然と披露される「愚かなストーリー」に興味が持続するわけもなく、一時間も我慢しておきながら見るのをやめた。