Vフォー・ヴェンデッタ

Vフォー・ヴェンデッタ [DVD]序盤を呑み込むことさえできたなら、最後まで楽しめる。

いきなり冒頭の昔話でつまずく。カットしても問題はないだろうし、どうしても欲しいのなら中盤あたりにでも適当に挿入してほしいところ。次に主人公のVが登場して、秘密警察の悪党からヒロインを守るのだが、格闘はしても殺しはなし。ここでがっかりする。

このあとの展開はもう最悪で、芝居がかった長口上をむりやり聞かされる。うんざりするほどいやになるのだが、停止ボタンを押さなかったのはヒロインがはっきりとうんざりしていたから。それならこちらも我慢するかという気にさせられた。

我慢を続けるうちに、大爆破。このシーンでの弾けっぷりで一気に引き込まれた。引き込まれてしまえば、Vのおかしな仮面もおかっぱ頭も気にならなくなる。長口上も聞いていたい気持ちにさせられる。

序盤は別にして殺しのシーンもしっかり見せてくれるし、クライマックスの殺陣も堪能させてもらった。不満があるとすれば、弾圧された少数派として同性愛者にスポットライトが当たること。扱うなとは言わないが、その趣味のない者には共感を覚えにくい。コーランがタブーとなっているのだから、弾圧された少数派には異教徒でもピックアップしてもらったほうがよかった。

途中でVがまったく姿を見せなくなるのだが、どうやら主人公はヒロインだったようだ。しかしまあ、Vが主人公だと思って見ていてもなにも問題はない。そして、頼むから最後までVの素顔は見せてくれるなよとの願いは、無事に聞き届けられた。Vは誰でもない、みんななんだと続いて、きれいにまとまった。