ファイナル・カット

ファイナル・カット [DVD]なんじゃこりゃ。

見終わって、ひさしぶりにうめくこととなった。見事に尻切れとんぼだ。見聞きした記憶をすべて映像に残すことの喜びと苦しみというテーマはよかった。

よくないのは、中途半端なミステリー仕立てで話を進めたこと。大物の記憶映像を巡って、買収、脅迫、侵入窃盗、そして殺人とエスカレートする。殺されたのはほかでもない主人公なのだが、主人公を殺してまで押し進めるミステリーに当然期待すれば、まったくなにもなしに突然終わってしまう。

好意的に解釈すれば、作中でそれとなくほのめかされた大物の性犯罪が味噌で、監督としてはそれで謎は明らかになったと考えているのかもしれない。しかしながら、部外者である主人公を殺すほどの犯罪ではなく、カットすべき醜い記録のひとつにしか描写もされていない。これでは消化不良で尻切れとんぼにしか見えない。

この監督の作品は二度と見たくないものだと思い、ほかにどんな映画を撮っているのか調べる気になった。こんな気分にさせられたのは「デッド・レイン」以来だ。