ヒルズ・ハブ・アイズ2

ヒルズ・ハブ・アイズ2 [DVD]
ストーリーがなってない。

予告編で兵隊が炭坑跡に入っていったので、「エイリアン2」のような激しい攻防戦や、「ディセント」のような洞窟物を期待した。しかし、期待はずれだった。

兵隊は、訓練中の新兵が移動の途中に立ち寄っただけだった。武装は貧弱で、戦闘シーンは楽しめなかった。炭坑跡には出入り口がいくつもあり、閉塞した環境で逃げ場を失うといったスリルも味わえなかった。なにより、ストーリーがなってなかった。

化け物がいたことを承知の上で科学者らを派遣したのに、事情は伏せてあった。なにも知らない連中が単独行動を取って死んでゆくのだが、殺されるシーンがほしくて、事情を伏せて単独行動を取らせたシナリオが透けて見え、出だしからつまらなかった。

監視役だか引率だかの軍人が、きつい口調で科学者らの単独行動を咎めるが、帯同しながら単独行動に気づきもしない無能な軍人の登場にはしらけた。

苦しませて殺すために被害者を便槽に落としたとのストーリーには無理があった。人肉は食肉として処理されているのだから、砂漠に孤立した環境では貴重な食料のはず。便槽から人の手を出して観客を驚かせたいという、作り手の思惑はよくわかったので、そういうことなら砂漠で身を隠す唯一の場所として、被害者が自分から便槽に逃げ込んだというストーリーにしたほうが自然だった。

一番つまらなかったのは、化け物に善人がいて、主人公たちを助けたこと。前作にも善人が登場したが、そちらは少女で乳児を守ったから、母性本能によるものと理由の察しもついた。

ところが、本作の善人には守り助ける理由がない。突然いい人として現れて、途中まで逃がしてくれて、中途半端に去っていった。いったいなにを考えて、こんな人物を登場させたのやら。

これまでずっと、人を食べてきたはずの化け物が、善人ぶって食料である獲物を逃がすからには、よほどの理由がなければならない。しかし、理由は一切示されなかった。助ける理由など、きっと存在しないのだろう。敵にもいい人がほしかっただけで、なぜいい人なのかは考えなかったに違いない。思考能力がないのは監督か、それとも、脚本を書いた製作者か。

いずれにせよ、「ヒルズ・ハブ・アイズ」は2作とも、見なくてもいいような作品だった。