ファースター 怒りの銃弾

思考停止。

いい感じに考える能力を奪ってくれた。敵の所在はわかっており、主人公はただぶっ殺すだけ。なにも考えずにアクションを見ていればいい。

思考が停止したため、敵が口にする「彼」について考えることがなかった。これが黒幕だとすぐにわかるような、安易な演出もされていない。なにやら凄腕らしい殺し屋がまた、煙幕として効果的だった。主人公と殺し屋の対決を期待して、「彼」の存在を忘れてしまった。

おかげでクライマックスを楽しめた。終わってみれば、「彼」に該当する登場人物はほかにいなかったと気づくのだが、映画を見ている間はまったく気づかなかった。観客から思考能力を奪い取ることで、単純なストーリーにも飽きさせない、よくできたアクション映画だ。