リミットレス

リミットレス [DVD]
悪役が残念。

悪役が残念だった。ロバート・デ・ニーロのような大物を起用したせいか、最後に敵として登場したのはデ・ニーロだった。それも、口先で丸め込まれて敗北するという、ぱっとしない役回りで。

最後に登場させる悪役は、主人公の恋人にするべきだった。恋人は窮地を脱するために薬を服用している。中毒になってもおかしくはないし、なにより、性根の腐った人物であると行動が物語っている。

悪漢に追われた恋人は、アイススケートをする少女を抱きかかえると武器として振り回し、スケート靴のブレードで悪漢を切りつけている。悪漢はナイフを持っていたし、人を刺してもいる。振り回された少女を攻撃した可能性もあったわけで、恋人は自分が助かるためなら平気で子供を危険にさらす人物だと描かれている。

当然、あとで悪役として登場するものと思っていたら、いい人で終わってがっかりした。子供を武器に使う人物がいい人であるわけがない。

本作にデ・ニーロはいらなかった。デ・ニーロの役は無名の役者ですませて、恋人をこそ悪役に据えるべきだった。デ・ニーロはセリフひとつで主人公のラボを閉鎖したのだから、恋人もセリフだけで主人公のラボを支配下に置けばいい。主人公用の薬を横流しさせて、のしあがったことにすれば、辻褄も合う。

子供を武器として使ったシーンは、恋人が悪役になって初めて意味を持ったのに、もったいないことだ。