アドルフの画集

アドルフの画集 [DVD]邦題にだまされないように。

原題「MAX」。主人公は画商のマックス。

ヒトラーが画家を志していたことは有名だが、本作ではその辺を掘り下げるものと思っていた。やがて挫折し、ファシズムに傾倒してゆくさまが描かれるのだろうと期待していた。これまでにない切り口だ。それを画商の視点で描くのだと、信じ切っていた。

絵描きとしてのヒトラーはたいして掘り下げられることはなく、ファシズムに傾倒してゆくヒトラーも狂気が芽生えたあたりで終幕となる。ヒトラーの扱いは実に中途半端なのだが、それもいたしかたない。主人公はヒトラーではなく、あくまでも画商であり、そして画商の死をもってジ・エンドとなる作品なのだ。

ヒトラーを避けずに主人公とし、画商の視点からヒトラーをこそ描き、画商の死後も変わらずヒトラーを見つめ続けたならば、秀作となったであろうに。もったいない。