ドッグ・ソルジャー

ドッグ・ソルジャー デラックス版 [DVD]掘り出し物。

狼男物なのだが、力の入れどころがひと味違っていておもしろかった。狼男は終始暗闇にまぎれており、メインはあくまでも演習中の軍隊になっている。実は演習は名目にすぎず、狼男を生け捕りにするための囮として捨て駒にされたわけだが、森林を縫って進む行軍シーンなど、渋くて重い映像は味わい深く、正直言ってホラーにはもったいないほどの出来。シナリオを差し替えて、シリアスな戦争物にしてほしいくらいだった。

もっとも、日が落ちてからは全体的にかなり暗く、いささか見づらくなっている。これはしかし、承知の上で暗い演出を施しているのだろう。狼男の着ぐるみを明るく照らしてじっくりと観察できたならば、興がそがれるに違いない。

登場人物の中に区別のつきにくい者がいるのは残念だが、仲間のために体を張って死んだからといってカタルシスを得られる作品ではないので、区別できなくても問題はない。また、序盤の野営で軍曹が独白するシーンがあるが、思わず聞き入ってしまうほどに、シナリオもよく練られている。

ラストシーンで事件を報じる新聞の一面が紹介されるのだが、これは蛇足かどうか判断に迷う。笑いはいらないと思うのだが、ニヤリとできて後味よく仕上がっているのも事実。