アイ・アム・レジェンド

結末はつまらなかった。

おもしろかったが、人類が絶滅しないので残念だった。種としての絶滅が確定し、人類最後のひとりとなった主人公の物語を楽しみたかった。ほかにも生存者がたくさんいて、治療薬も完成し、再び人類は栄えるのだと予見できる結末はつまらなかった。

それならいっそ、もう少し話を進めてもらいたかった。治療薬ができたところで、バラ色の未来などなく、深刻な差別社会が待っているはず。感染しなかったり、感染しても免疫が機能して発症しなかった人間が、一度は化け物に成り果ててしまった人間を暖かく迎え入れるとは思えない。

悲惨な病気が治っても、より悲惨な差別に直面するわけで、そこまで踏み込んで描いてもらえたならば、ただのアクション物で終わらずに、社会に警鐘を鳴らす作品に仕上がったのではあるまいか。そう考えると、なにやらもったいない作品だった。