鑑定士と顔のない依頼人

鑑定士と顔のない依頼人 [DVD]
主役の芝居がよかった。

終盤のラブロマンスはかったるくて、見るのをやめたくなった。それとなくにおわされていたから、どんでん返しを楽しみに我慢できた。

青年を怪しい人物に見せておいて誠実な人物に戻したのは、映画としても、作中の犯行計画としても、よくできていた。しかしながら、ドナルド・サザーランドはミスキャストだった。役者として大物過ぎて、あの程度の役であるわけがないと、先が読めてしまって残念だった。

主人公が警察に行けない理由は作中からも明らかだが、発信器を見つけたシーンがよくわからなかった。見終わってから、ヒロインがいつも引きこもっていられたのは、発信器で主人公の行動を監視していたからだと気づいた。

人生をかけて収集したコレクションを失ったことに気づいた瞬間の、主役の芝居が実によかった。物を落とすのはありきたりだが、力が抜けただろうから当然のこと。その前の、立ちくらみにも似た頭の動きと、信じたくない見たくないとまぶたを閉じたシーンが気に入って、何度もリプレイして楽しんだ。