チェーン・オブ・ファイア

チェーン・オブ・ファイア [DVD]

実話に基づくにしてもあんまりな作り方。

凄腕の火災調査官と正体不明の連続放火魔。証拠は一切残さない放火魔が唯一失敗した発火装置には、調査官の指紋が付いていた。捜査の手が調査官に及び、ついには逮捕される。

当然ながら、指紋は放火魔が仕組んだ罠だと思った。絶体絶命の窮地から、見事、冤罪を晴らすストーリーなのだと思った。なぜなら放火魔が画面に登場して、調査官に対し恨めしそうにしていたからだ。ところが、ストーリーは妙な展開を見せる。放火魔が映っていたシーンは調査官に置き換えられる。結局、放火魔の正体は調査官だったとなる。両者が対決するだろうとの期待は完全に裏切られるわけだ。

びっくり箱を渡されたら、どんな仕掛けか期待するもの。開けてみれば中は空っぽで、なにもなくて驚いたかと聞かれても、落胆の溜息しか返すものはない。実話に基づくのだから、放火魔の正体が調査官であることに異論は唱えないが、対決することのない両者の、対決を期待させる作り方はいただけない。肩透かしを食らって、残るのは不満ばかりとなった。