テイキング・ライブス

テイキング・ライブス ディレクターズカット 特別版 [DVD]不安感を楽しめる。

イーサン・ホークは真犯人のにおいをプンプンさせているのだが、それは演出のうちだろう。おかげで誰が犯人かなどとよけいな気を回さずに、ストーリーに集中できた。つまり、犯人を推理して楽しむのではなく、作品全体に漂う不安感をこそ楽しむ映画だということ。ミステリーではなくてサスペンスだ。

推理の必要がないからといって、この人が犯人ですと見せたのではせっかくのスリルが薄味となってしまう。だからイーサン・ホークに負けないネームバリューを持った役者として、キーファー・サザーランドを当て馬に用意したのかもしれない。しかしながら、キーファーを使うには明らかに役不足で、期待が未消化に終わったのは残念。あの程度の役ならば、無名の役者で充分だった。