サウンド・オブ・サンダー

いろいろ気にはなるものの、楽しめる作品。

根本的にストーリーが破綻している。歴史を変えるきっかけとなった生物は、どのみち数分で死ぬ運命にあったわけで、焼け死のうが踏み殺されようが変わりはないはず。

また、最後に主人公が問題の過去に戻って事故を未然に防ぐのだが、同じ時間の同じ恐竜を相手に繰り返しハンティングしていたのだから、主人公が問題の過去に戻れるということは、異なる時間からやってきてハンティングしていたすべての存在がかち合うことになるはず。

お約束としてタイムパラドックスには目をつぶるつもりでいても、それ以前の安易な矛盾までお約束の範疇に押し込まれてはたまらない。破綻したストーリーを押し通すくらいなら、いっそ人類を滅亡させて警鐘としてほしかった。異なる進化を遂げた人類の姿が映し出されるシーンもあるだけに、そこのところをもう一歩踏み込んでくれればと、なにやら惜しい気もする。

しかしまあ、破綻したストーリーに見劣りのする特撮といろいろ気にはなるものの、楽しめる作品ではあった。ジャケ写を見て津波が襲ってくるのだと早合点し、過去を変えたことによって巻き起こる気候変動をテーマに据えた作品だと楽しみにしていたので、その点は残念だが。